スマホとコンデジの画質と決定的な違い

スマホとコンデジの比較

スマホのカメラがあればコンデジはいらないと何度も言われてきましたが、実際には、スマホのカメラだけでは不十分でした。本当に、スマホのカメラがあればコンデジはいらないと言われ始めたのは、HUAWEI P30 Proが出てからです。

HUAWEI P30 Proとコンデジに、HUAWEI P30 Proのことを書いていますが、HUAWEI P30 Proには125mmの望遠レンズが付いたことが大きいです。スマホは望遠に弱いと言われて、コンデジは広角から300mm以上の光学ズームができることが利点でした。

HUAWEI P30 Proの時点でも125mmの望遠レンズなので、300mm以上の光学ズームができるコンデジよりズームできませんが、実際にはデジタル処理をして300mmくらいまでなら一般的な用途では使えるズームになっています。コンデジがスマホより優れていると言われてきた望遠性能の強みが薄れているのは、間違いありません。

撮像素子の大きさは、コンデジの中では、1/1.7型が大きいほうだと言われてきました。その1/1.7型の撮像素子も、HUAWEI P30 Proの前機種のHUAWEI P20 Proでも使われています。1/1.7型より小さい1/2.3型や1/3.2型の撮像素子のコンデジは、画質面でスマホに勝てなくなっています。

さらに、スマホには深度測定センサーもあって、背景のボケ具合も綺麗になってきています。HUAWEI P30 Proの時点で、アパーチャーモードで、エントリーコンデジよりは背景が綺麗にボケています。スマホの高感度もISO40万以上にもなって、エントリーコンデジでは到底勝ち目がないほどの高感度になっています。

しかし、実際には、そのISO40万以上もの高感度は、連写合成の上にデジタル処理をした結果です。コンデジとスマホのカメラ機能の何が違うかと言えば、コンデジはフィルム時代からのカメラとしての伝統を背負った作りをしてきています。コンデジであっても、銀塩の頃からのカメラの延長線上にあるものです。

そのため、コンデジであっても、光学性能が重視されて、光学レンズが重視されます。カメラの最高峰のレンズ交換式の一眼では、結局のところ、交換レンズの光学レンズで画質が決まると言ってもいいくらいです。コンデジでも、この一眼の光学重視の性格を受け継いで、光学レンズを重視しています。

広角から300mm以上もの光学ズームができるコンデジのほうが、スマホよりもすごいと言われるのは、フィルムの頃からの光学性能の重視があります。この光学性能を重視するのは、銀塩からのカメラの歴史を考えれば、自然にそうなります。しかし、スマホは、その銀塩の頃からのカメラの伝統を背負っているのでしょうか。

スマホの形からして、カメラで伝統的に「こう持ちなさい」と言われてきた持ち方ができない形になっています。形からそうで、スマホは薄いので、広角から300mm以上もの1本のズームレンズを収めることもできません。スマホが複数の単焦点レンズで分けているのは、スマホが薄いのでそうせざるを得ないからです。

スマホでは複数の単焦点レンズがあっても、1本の光学ズームレンズのように使いたいのならば、デジタル処理をして補う必要があります。スマホでの疑似光学ズームレンズです。絞りモードもデジタル補正をして疑似光学の背景のボケを見せて、高感度も連写合成を合わせたデジタル処理をしています。コンデジとスマホの決定的な違いは、光学性能のほうを重視するか、デジタル処理のほうを重視するかの違いです。

スマホは筐体からして薄いので、広角から望遠300mm相当のコンデジのような1本の光学ズームレンズを収められないので、光学性能重視の姿勢は諦めたのです。コンデジの時点で、一眼からすれば、デジタル処理をしすぎだと言われてきました。実際、絵作りからして、自然な一眼の絵から見れば、コンデジは一見すると綺麗なデジタル臭さなどと言われて批判されてきたものです。

そのコンデジですら、スマホから見れば、光学性能重視で銀塩の頃からのカメラの伝統を背負っていると見えるのです。スマホはそれだけ、光学性能よりデジタル処理でカメラ写真を綺麗に見せることに重点を置いています。だから、スマホの画質は悪いと散々言われてきました。

実際、2005年より以前のコンデジと比較しても、まともと言える写りができるスマホは少なかったのです。カメラとしての根幹の光学性能に劣ったスマホの限界の画質は、この程度などと言われ続けていました。それでも、スマホは光学性能よりも、デジタル処理を重視せざるを得ないので、デジタル処理の改善で勝負してきました。

本格的に、コンデジの画質を蹴散らせるまでにスマホの画質が台頭してきたのは、HUAWEI P30 Pro以降からと言えると思います。蹴散らしているコンデジは、1/2.3型や1/3.2型の豆粒センサーと言われてきたコンデジです。スマホの画質は、エントリーコンデジよりは上回ったと言ってもいいと思います。

1/1.7型センサー同士のコンデジとスマホで、スマホの画質のほうが完全に優れているとまでは言えないと思います。今後、Photoshopの性能もどんどん上がって、Photoshopより補正機能に優れたアプリが出てくるかもしれません。コンデジで撮った写真を、将来よくなったアプリでデジタル補正で拡大して、望遠すると自然な描写にできるようにもなると思います。

さらには、コンデジでは、1.0型以上のセンサーが主流になっています。1.0型よりも大きいセンサーを搭載したコンデジも複数あります。1.0型センサーは、1/1.7型よりも約2.7倍もの大きさがあります。センサーが大きいほど、多くの光を取り込めるので、画質が向上します。

コンデジはカメラ専用機でカメラのためだけに筐体を使えて、1.0型センサーのコンデジでも、広角から200mm以上もの光学ズームを搭載しても、とても軽い機種もあります。1/1.7型のスマホの画質は、1.0型のコンデジの画質にあらゆる面で負けています。ただし、一般的な用途では、1/1.7型のスマホでも十分に綺麗に撮れます。

スマホの構造的な問題は、自撮りのインカメラです。スマホの画質がいいと言われているのは、リアカメラ(アウトカメラ、バックカメラ)です。インカメラになると画質が落ちます。しかし、スマホではインカメラで自撮りしないと不便です。コンデジでは、モニターが自分側に完全に向けられる機種も多いので、スマホで言うリアカメラで撮れます。

コンデジにはスマホで言うリアカメラしかなく、インカメラに相当するものはありません。モニターが自分側に向けられるから、自撮り用に必要ないからです。自撮りの時に、コンデジとスマホでは、かなり画質に差が出ることがあります。もちろん、コンデジのほうが自撮りの画質がよくなります。

これが問題なのは、スマホでは自撮り写真こそがコンデジより撮る機会が多いのに、コンデジより画質が悪くなるからです。スマホがコンデジに勝ったという意見は、インカメラでの自撮りとコンデジの自撮りの画質のことはどう思っているのでしょうか。

スマホの薄さと違って、物理的に余裕があるコンデジには、電子ファインダー搭載の機種もあります。ディオプター 眼鏡利用者の裸眼の視度調整に書いていますが、コンデジの電子ファインダーは調整幅が広いので、視力に問題があっても視度調整をすれば結構見ることができます。

老眼と視度調整 ミラーレス一眼のEVFが救世主にも書いていますが、モニターで見にくくてもファインダーで視度調整すると、老眼であっても被写体を確認できる範囲が広がります。コンデジのファインダーのほうが、スマホのモニターよりも晴れの日にも見やすい利点もあります。

このコンデジの電子ファインダーの利点も、スマホに比べると大きいことです。

スマホとコンデジの他のことでは、スマホではカメラを使うと余計にバッテリーが減って、スマホで他のことに使えなくなることがあります。それに、スマホの中に個人的な写真を大量に入れておくのは、個人情報の観点からも望ましくないです。コンデジに写真撮影を託して、コンデジのSDカードに個人の写真を保存するようにすれば、プライバシーの面から望ましいです。

自撮りの画質はスマホよりコンデジが優れるに、自撮りのことを書いています。

参考記事:コンデジが一眼レフを超える時 訴える力のある良い写真とは


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