ソニー α7R レビュー 比較と評価

SONY α7R ILCE-7R

ソニーのα7R ILCE-7Rは、レンズ交換式のミラーレス一眼として初の35mm判のフルサイズ機です。最近のソニーは、デジカメの魅力をさらに掘り起こす機種を発表しています。ソニーは今のデジカメへの流れの元にもなったマビカ・ショック(1981年に、画像をフロッピーディスクに記録する試作機を発表した時の衝撃)の頃から、デジカメ業界で先駆的な発表をし続けてきています。撮像素子の多くがソニー製のこともあって、デジカメ業界の中心的存在がソニーです。α7Rでミラーレス一眼のフルサイズにしたことからも、ソニーはデジカメ業界で家電メーカーよりも、カメラメーカーとしての性格が強くなっています。ソニーによればα7Rはα99よりも下位に位置する機種ですが、実際にα99よりも性能が劣っているところもあります。α7Rの欠点と言えるのは、ミラーレスフルサイズ用のFEマウントのレンズが少ないことです。

α7Rの総画素数は約3680万画素で、Aマウントのフルサイズのα99の総画素数は約2470万画素なので、約1200万画素もα7Rのほうが高画素です。α7Rは解像度を重視するために、ローパスレスにしています。ミラーレス一眼のオリンパスとパナソニックはアスペクト比が4対3でコンデジと同じですが、α7Rのアスペクト比は3対2です。ソニーはミラーレス一眼のアスペクト比を3対2にしているところにも、カメラメーカー色が出ています。α7Rは画素数が多いので3対2の時にSサイズでも約900万画素もありますが、APS-Cでの撮影時にはSサイズで約380万画素です。APS-C専用のEマウントレンズもα7Rで使えますが、画角がクロップした撮影になります。Eマウントレンズを使えばα7Rで望遠側に焦点距離が伸びたレンズとして使えるので、望遠域の撮影が多い場合に便利に使えます。

別売のマウントアダプターのLA-EA4にはトランススルーセントミラーが搭載されて、Aマウントレンズが使えます。トランススルーセントミラーがあると位相差検出方式のAFがα7Rで使えます。α7Rには位相差AFがないので、LA-EA4はAマウントレンズも使えて位相差AFも使えるので、α7RでAマウントレンズを使うのならLA-EA4を使うといいと思います。別売のLA-EA3もAマウントアダプターですが、トランススルーセントミラーは非搭載です。α7R用のFEレンズは少ないですがAマウントアダプターでAマウント全てが使えて、Eマウントレンズはクロップで使えるので、それでレンズの選択肢が増えています。α7RにはコントラストAFしかないですが、NEX-7よりもAF速度が約35%も速くなったファストインテリジェントAFがあります。コントラストAFは精度に優れて、位相差AFは速度に優れています。コントラストAFのほうが高精度なので、コントラストAFでAF速度が高速化して、高精度で高速なAFになるのは理想的なAFでもあります。

α7RのAFの欠点は、AFの検出輝度範囲がEV0で暗い被写体に弱いことです。Aマウントのエントリー機のα58でもEV-1なので、α7Rは暗い場面のAF精度に劣るのでMFに頼ることにもなります。α7RのAFの測距点数は25点なので、高級一眼の測距点としては不足しています。α7RのフレキシブルスポットAFを使えばSとMとLのAF枠を選んで撮影できて、被写体に合わせたAFにできて便利に使えます。α7Rの電子ビューファインダーはアイセンサー搭載の0.5型で約236万ドット、視野率は100%で倍率は0.71倍なのでα99と同じに見えます。ですが、α99よりもコントラスト比が約3倍にもなって、見やすくなっています。α99のEVFで十分に綺麗でしたが、α7Rはそれ以上のEVFになっています。α7RのEVFの視度調整の範囲は、-4.0-+3.0のディオプターです。ディオプターのことはディオプターの記事に、書いています。α7Rの液晶モニターは3.0型の約92万ドットなので、高級一眼としては劣っていて、コンデジの高級コンパクト機と同じくらいのドット数です。チルト液晶なので液晶の裏返しにはできませんし、α99のように自分のほうにモニターが向きません。

α7Rは全画素超解像ズームが使えるのが、ソニーの特徴です。静止画の全画素超解像で約2倍の焦点距離になるので、50mmの単焦点レンズが100mmになって、レンズのF値が明るいままなのが物理的なテレコンとは違う長所です。全画素超解像ズームは等倍で見ると画質が落ちていますが、通常で見る分には使える機能です。α7Rのスマートズームは余った画素数を使う機能なので、画質の劣化がありません。Sサイズで約2倍までズームできてα7RのSサイズは約900万画素もあるので、十分な画素数です。APS-Cサイズ時のSサイズでも約2倍までスマートズームができて、APS-Cの元のクロップの2倍にそのスマートズームの倍率がプラスされます。ソニーの機種は一眼でもデジタル処理ズームの利点が使えて、全画素超解像ズームもスマートズームも、特に単焦点レンズが簡易なズームレンズのようにも使えるので、使ってみることをお薦めします。

α7Rには1コマ目にピントと露出を固定する速度優先連続撮影で、最高約4コマ/秒の連写ができます。1コマ目にピントと露出を固定して他の連写にはピントも露出も合っていないので、速度優先連続撮影は惰性連写のようなものです。この惰性連写はコンデジによくある連写機能で、実際の連写とは言えない機能です。α7Rで連写ごとの被写体にピントと露出を合わせる本来のAF追従の連写速度は最高で約1.5コマ/秒なので、連写に弱い機種がα7Rです。JPEGのLサイズのスタンダードでは、200枚の連続撮影が可能です。α7Rには手ブレ補正なくて交換レンズで対応式なので、このことが使う人によってはα7Rの最大の欠点になります。ニコンやキヤノンの一眼レフもレンズ式の手ブレ補正なのでα7Rと同じですが、ソニーのAマウントの一眼には手ブレ補正が内臓です。オリンパスのミラーレス一眼は手ブレ補正内臓で、パナソニックのGX7でも手ブレ補正を内臓しましたが、ソニーは小型化を優先したためかα7Rに手ブレ補正を非搭載にしました。

ソニーはα7Rをフルサイズセンサー搭載の世界最小・最軽量ボディと謳っていて、α7Rはα7よりもわずかに軽いです。α7Rは本体のみで約407グラムで、α7は約416グラムです。α7Rとα7のどちらも小型化を優先したために、バッテリーがNEX-5Tと同じNP-FW50になりました。NP-FW50のバッテリーは持ちが悪いので、CIPA基準で液晶モニターで約340枚、EVFでは約270枚しか持ちません。α7Rでメニュー操作や撮影画像をよく見ていると、もっと持たなくなります。α7Rのバッテリーは、コンデジの高級コンパクト機よりも持たないくらいです。NP-FW50はα55で使われていたバッテリーで、バッテリーの持ちが悪いと評判が悪く、後継機のα57でNP-FM500Hになって格段にバッテリーの持ちがよくなった経緯があります。NP-FM500Hはα99のバッテリーでもあります。α57はα99と同じバッテリーにして持ちをよくしたのに、α7Rではα55で評判が悪かったバッテリーにして小型化を追求してしまったのは、α7Rの欠点ではないでしょうか。α7Rの後継機ではα55からα57のように、持ちがいいバッテリーに代わるかもしれません。

α7Rが小型化を追求するのは、フィルム時代の頃から考えても間違っていないと思います。フィルム時代に、オリンパスのOM-1というカメラがありました。当時のオリンパスは一眼レフの「大きい」「重い」「シャッターの作動音、ショックが大きい」ことの3つの欠点を三悪と呼んで、一眼レフはこの三悪を克服する必要があると言っていました。それで生まれたのが、オリンパスのOM-1です。ソニーは「フルサイズセンサー搭載のレンズ交換式一眼カメラは大きいというこれまでの常識を覆す」と言っていますが、これを見て、オリンパスのOM-1を思い出しました。α7Rは小型化の追求で、手ブレ補正の非搭載、小型バッテリーの採用などの欠点も見えています。α7Rのシャッタースピードの上限は1/8000秒で、フラッシュの同調速度は1/160秒です。他にも、近距離無線通信のNFCに対応、Wi-Fi機能、色空間のAdobeRGB、「トリルミナスカラー」対応、「ブラビア プレミアムフォト」に対応、露出補正が±5、フルHD動画のフレームレートは60pです。

α7Rはマグネシウム合金のボディですが、フロントカバーもマグネシウムです。α7は、フロントカバーはプラスチックになっています。α7Rのボディは、防塵と防滴にも配慮したボディ設計になっています。α7Rは静止画でISO100から25600で、オートではISO100から6400で拡張設定でISO50が使えますが、α99と同じです。マルチショットノイズリダクションでISO51200が使えますが、ソニーの連写した画像を重ねてノイズを低減するマルチショットノイズリダクションは1段分以上のノイズ低減効果はあるのでかなり使える機能です。α7RはSDカードはUHS-I 対応ですが、コンパクトフラッシュは使えません。α7Rには前後ダイヤルがありますが、これは上級機にある機能です。他にも、ピーキング機能があってピント面を色で確認できますが、Aマウントレンズ使用時にも使えるので便利な機能です。α7Rにはストロボが内臓されていないので、マルチインターフェイスシューを使って、ストロボを装着できます。

露出制御の測光方式は1200分割です。α7RのEマウントは、レンズのマウント面から撮像面までの距離のフランジバックが18mmと短いので、マウントアダプターを使ってオールドレンズが使えます。α7Rは35mmフルサイズなので、ライカなどのオールドレンズの画角がそのまま使えます。α7R IIのレビューに、後継機のことを書いています。α7R IIとα7Rの違いに、違いを書いています。α7Sとα7Rの違いα7のレビューと比較α7Sとα7の違いα7Rとα7の違いD810とα7Rの違いα7RとD610の違いに、それぞれの機種の記事を書いています。

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