コンデジが一眼レフを超える時 訴える力のある良い写真とは

コンデジが一眼レフを超える時

前の03の「コンデジは一眼レフより綺麗な写真を撮るのが難しい上級者向け」の記事からの続きです。

レンズ交換式のデジタル一眼レフとレンズ一体型のコンデジのことを書いてきましたが、画質がいいカメラやノイズの少ないカメラなら良い写真が撮れるとも言えないと思います。一眼レフは画質がいいと言っても、後でレタッチすれば、一眼レフで撮ったのかコンデジで撮ったのか、あまり分からなくなることさえあります。コンデジのほうがサイズと重さの利点で持ち歩くのなら、コンデジのほうが撮影枚数が多くなります。撮影枚数が多くなると、その中で、あとで見返して本当に思い出に残る写真が入っています。一眼レフを持っていても、重さで苦になって撮影しないのなら、ただの飾りのコレクションになります。

良い写真という時に「色の出方がよくて画質がいい」というのなら、モノクロ写真はどうなるのでしょうか。良い写真と言われる時にカラー写真が前提にあると、モノクロ写真自体が画質が悪く、悪い写真になってしまいます。モノクロ写真の魅力をSIGMA DP3 Merrillとモノクロ写真の相性の記事で、「写真に色彩をあえて与えないことで、被写体の形を鮮明に映し出して、その被写体が浮かび上がるように強調し、その写真をその時の中にいつまでも閉じ込めておく」と書きました。

今までの写真の歴史で、本当に良い写真と言われるものには、モノクロ写真が多くあります。そのモノクロ写真たちは、これからの未来の写真の歴史でも燦然と輝いていく写真です。銀塩時代の粒状性、デジタル時代のノイズが乗ったモノクロ写真も多くあります。そのような写真も良い写真で、多くの人に訴える力があります。良い写真とは、訴える力を持っている写真のことだと思います。良い写真にとって、ノイズレスな画質や、色がよく出ているなどはあまり重要ではないのは、今までの写真史の訴える力を持った写真を見れば確認できると思います。写真の原点であるモノクロ写真を見ても、ノイズがあるかないかと訴える力がある写真かどうかは、関係がありません。

コンデジでの撮影写真でも、一眼レフで撮った写真よりも訴える力を持った写真たちがデジカメ史の中で輝き続けています。サイズと重さが苦になっても一眼レフのほうが画質がいいからと無理に持ち歩いていると、写真を撮るのが嫌になるかもしれません。その状況は、重いカメラのように見えるものを持ち歩く修行みたいな心理状態になっています。そうなると、一眼レフが嫌になるどころか、カメラ自体を扱うのも嫌になるかもしれません。画質は、はっきり言えば後のレタッチでかなり変化するので、そんなに気にする必要もないものです。

特によく言われる高感度ノイズは、レタッチでかなり取り除くことができます。デジタルズームで拡大しすぎて画像が大きく破綻したり、完全な白飛びや黒潰れ、彩度を上げすぎた色飽和で写真の諧調が失われて細部のディティールが潰れているなどでない限りは、レタッチすればかなり自由に写真を変えることができます。画質がいいカメラはレタッチ耐性があるカメラで、一眼レフが最も画質がいいと言われるのは、レタッチ耐性があるために撮影画像を理想の写真に近づけることができるからだと思います。レタッチで理想の写真に近づけたい意欲があるほど、一眼レフを使うことをお薦めします。

銀塩写真でも、最終的な写真の質を決めるのは暗室設備の充実でした。どんなに評価が高いフィルムカメラやレンズであっても、暗室での現像でその写真の魅力を引き出せなければ、写真の質が落ちていたのです。デジカメ時代でも、フィルム時代の現像に当たるRAW現像からのレタッチで、その写真の魅力を最大限に引き伸ばすことができます。一眼レフの重さとサイズが苦になるのなら、高級コンパクト機の中で、できるだけ小さいサイズにするといいです。レンズ一体型機は、そのカメラ専用のレンズ設計ができることが強みです。

その強みは、レンズ一体型機の中で、高級コンパクトが最も恩恵を受けているものです。高級コンパクトは高級と言われるだけあって、レンズ設計にも力を入れているからです。レンズ一体型の大きな利点は、レンズの結像面に合わせてセンサー面の調整を1固体ごとにほぼ完璧にできることで、光軸とセンサーを調整して、そのカメラだけのレンズ設計ができます。そのため、高性能レンズのレンズ一体型では、中心部から周辺まで均一に解像することができます。エントリー一眼レフにキットレンズなら、高級コンパクトの最低感度で撮った画像のほうが綺麗なこともあります。

あるいは、コンパクトなオート機でもいいと思います。趣味の領域の写真で、重くてでかいのを持ちたくないのに、無理して持つ必要もありません。一眼レフと重いレンズと三脚を持ち歩き続けて写真が嫌になるのなら持ち歩く必要もなく、もっと小さなレンズ一体型機を使って良い写真を撮ればいいと思います。レンズ一体型は一眼レフのようにレンズ迷いが生じたり、底なしのレンズ沼がありません。レンズ一体型機の魅力は、レンズが交換できないことで、このカメラを使ってみようと割り切って使う意欲が湧いてくることです。一眼レフから見ると逆説的ですが、レンズ一体型の魅力は、レンズが交換できないところにあります。

それに、レンズ一体型機の背面液晶での撮影は、一眼レフのファインダー撮影より眼鏡利用者が撮影しやすい利点もあります。ファインダー撮影で化粧崩れが気になる女性にも、液晶モニターでの撮影なら気になりません。レンズ一体型は、レンズ交換式のレンズ交換で起きるほどのゴミ問題がないことも大きな強みです。オート機のコンデジでもその性能を使えば、訴える力を持った写真を撮ることもできます。背景のボケ量とボケ味や動く被写体の迫力ある写真などでなく、静物であれば、コンデジでもそのカメラの最低感度で撮れば、デジタル一眼レフともあまり変わらない写真も撮れます。コンデジと一眼での、被写界深度(ひしゃかいしんど。ピント面が合っているように見える範囲。ピントは点でなく面で合います)の違いも大きいです。

2/3型の撮像素子でレンズが最も明るい開放F値のF2.8で撮るとすると、被写体までの距離が5メートルでレンズの実質の焦点距離が7.1mmくらい(35mm判換算で28mm相当)の時には、1.5メートルくらいから無限遠までピントが合います。2/3型よりも小さい撮像素子では、同じレンズの絞り値のF2.8でも、もっと手前から無限遠までピントが合います。コンデジによくあるF2.8より暗いレンズでは、もっとピントが合う範囲が広がります。コンデジの利点はレンズの開放F値で無限遠までピントが合うので、風景撮影などでシャッタースピードが稼げることです。そのため、コンデジでは最低感度のレンズの開放F値で風景撮影ができます。

レンズ交換式の一眼でピントを合わせるためにレンズを絞って、シャッタースピードを稼ぐために高感度撮影をすると、コンデジの最低感度で撮ったほうが綺麗に見えることがあるのです。コンデジの被写界深度の深さは、料理のマクロ撮影などでもレンズの開放F値で手軽にピントが合った写真が撮れます。一眼では、料理に近づいて開放F値で撮ると被写界深度がかなり浅くなるので、かなりのボケた写真になります。

「写真は光の芸術」と言われます。photographの単語は、photoは光でgraphは記録の意味があって、写真とあらわします。写真は光を記録するものです。写真写りがよいの意味のphotogenicは、「光がつくりだすもの」という意味のギリシア語に由来しています。日本でも、写真のことを光画とも言います。photographの訳語として照画と言われていたこともあって、照には写真の意味もあります。photographは1839年にSir John Hershelがphotoとgraphで作った造語ですが、光の意味もある「光景」は島田忠臣の田氏家集(でんしかしゅう)で892年頃に光の意味で使われていて、その後に景色や感動させる情景の意味で使われるようになりました。

英語で写真を意味する単語の950年ほど前に、日本で光景が光の意味でその後に被写体の光景を意味するようになったことを考えても、写真を撮ることは技術的にも表現上も光を撮ることであると言ってもいいくらいです。コンデジでもライティングを工夫した写真であれば、一眼レフの写真を超えることもできます。写真にとって、それほど光は大切です。あるいは、レンズ交換式の一眼がいいのなら、コンパクトなミラーレス機とパンケーキレンズを使ってもいいと思います。

デジカメと言えばコンデジのことで、コンデジが今よりも輝いていた時代が確かにありました。コンデジこそがデジカメだったのです。その時は、今はなきミノルタやコニカのコンデジもそれぞれ出ていて、様々なコンデジが販売されていました。当時ほどのコンデジの復権は今は望めなくても、当時はコンデジで多くの作品が撮られていました。作品撮りにコンデジを使うことは今でもできますし、それは何も問題はないことです。

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