Canon EOS Kiss X70 レビュー 比較と評価

キヤノン EOS Kiss X70

キヤノンのEOS Kiss X70は、2011年3月29日に発売されたEOS Kiss X50の後継機です。EOS Kiss X70はキヤノンの一眼レフの中でも最も安価なシリーズですが、購入の際には注意する必要があるので、そのことを最初に書いておきます。まず、EOS Kiss X70にはダストリダクション機能がないので、ゴミがセンサーに付いたままになります。最新のレンズ交換式の機種にはダストリダクション機能が付いているのが当たり前ですが、前機種のEOS Kiss X50にも付いていませんでした。キヤノンの一眼レフの最エントリー機の Kiss X70のシリーズでは、前機種も後継機でもダストリダクションを付けないようになっています。

他にEOS Kiss X70では、液晶モニターが3.0型で固定式の約46万ドットです。3.0型の46万ドットはコンデジのエントリー機並で、現行の一眼レフの中では最も見映えがしない液晶モニターです。前機種のEOS Kiss X50は2.7型で23万ドットという荒い液晶モニターだったので、それよりは見やすくなっています。EOS Kiss X70の液晶モニターはアスペクト比が4対3で、撮影された3対2の写真に合っていません。EOS Kiss X70の画像エンジンはDIGIC4なので、これもコンデジのエントリー機並です。キヤノンの最新の画像エンジンはDIGIC6なので、EOS Kiss X70は2世代前の画像エンジンになっています。

他にも、EOS Kiss X70はAFの測距点数が9点までしかありませんし、EOS Kiss X7のAFのハイブリッドCMOS AF IIでもありません。こういうことを考えてから、EOS Kiss X70の購入を考えたほうがいいと思います。EOS Kiss X70は、最エントリー機で機能が削られているだけでもありません。中でも、EOS Kiss X70は露出補正の幅が±5段もあります。EOS Kiss X70よりも高価なレンズ交換式機でも、露出補正幅が±3段までしかない機種もあります。EOS Kiss X70の露出補正幅が±5段もあるのは、一眼レフの最上位機と同じです。露出補正が±5段もあれば、±3段と比べて写真の表現力が広がります。最上位機の一眼レフが露出補正の幅が±5段なのは表現力を高めるためで、被写体の調子をふんわりしたりシャープにしたり露出補正で変えることができます(露出のことは、デジカメと銀塩フィルムカメラの露出の違いの記事から書いています)。

EOS Kiss X70は有効画素数は約1800万画素で、常用ISO感度はISO100からISO6400です。拡張感度を使えば、ISO12800まで使えます。ISOオートの上限設定は、ISO400・800・1600・3200・6400ができます。ファインダーの視野率は約95%で、ファインダーの倍率は約0.8倍です。ファインダー倍率の0.8倍はAPS-C換算なので、エントリー機でファインダーが大きいほうがいい場合にはEVF機を使ったほうがいいです。一眼レフの光学ファインダーは、物理的限界からエントリー機ではファインダー倍率が小さく、逆にEVFの一眼のエントリー機は物理的限界を超えられるのでファインダーが大きくて迫力があります。

EOS Kiss X70のシャッタースピードは1/4000秒までで、一眼レフのエントリー機では標準です(レンズシャッターとフォーカルプレーンシャッターの違いに、シャッタースピードの上限の違いについて書いています)。連続撮影速度が最高で約3.0コマ/秒なので、連写には向いていない機種です。EOS Kiss X70は他のキヤノンの一眼レフと同じで、手ブレ補正がレンズ式です。手ブレ補正がボディ内臓型の一眼レフは、ペンタックス機になります。ソニーやオリンパスのEVF一眼も、ボディ内臓型の手ブレ補正機になります。EOS Kiss X70は最エントリー機ですが、フルHD動画が撮れます。EOS Kiss X70が最エントリー機なのは、モードダイヤルにポートレートや風景などのかんたん撮影ゾーンのマークがあることからも分かります。一眼レフの上位機にはシーンモードのマークがなく、絞り優先やシャッター優先やマニュアル露出などから選ぶようになっています。

EOS Kiss X70のかんたん撮影ゾーンで、くっきり鮮やかに、ふんわりやわらかく、暖かくやさしく、しっとり深みのある、ほの暗くひっそりと、明るく、暗く、モノクロの設定での撮影ができます。モノクロは、セピアと青にしても撮影できます。他の記事でも書いていますが、写真は目の前にある被写体をそのまま写し取るものではなく、自分の情感を被写体に重ねて写し取るものだと思います。EOS Kiss X70にある機能を使って、目の前にある被写体を自分がその時に思った色にして写すこともできます。クリエイティブオートの機能では、液晶モニターにあるスライダーを動かすと、くっきりかぼかすにしてボケの具合を自分好みにすることもできます。

EOS Kiss X70にはEOS Kiss X50から追加された機能があって、クリエイティブフィルターに表現セレクト、シーンインテリジェントオート、マルチアスペクトに動画撮影時に静止画撮影もできる機能が新規に追加された機能です。EOS Kiss X70のボディには梨地塗装、グリップラバーもあって、前機種のEOS Kiss X50のボディより持ちやすくなっています。EOS Kiss X70は、64mm相当になるEF40mm F2.8の単焦点レンズを使えば気軽に持ち歩けます。バッテリーはLP-E10でファインダー撮影で約500枚の撮影ができますが、ライブビューでは約180枚の撮影しかできません。ライブビュー撮影でバッテリーの持ちがいいのは、EVF一眼になります。EOS Kiss X70は、本体のみで約435グラムになります。

EOS Kiss X70は、価格を抑えても一眼レフを使いたいという時に選択肢に入る機種になっています。

コンデジが一眼レフを超える時 訴える力のある良い写真とはに、コンデジでも訴える力のある写真が撮れることを書いています。スマホとコンデジの画質と決定的な違いに、スマホとコンデジのことを書いています。

単焦点がズームレンズより画質がいい理由とフレアとゴーストに、レンズのことを書いています。コントラストを下げて撮影したほうがいいことなどをデジカメのダイナミックレンジ ラチチュードを拡大でお薦め設定に、書いています。コンデジのフルマニュアル撮影とオート機能との違いに、マニュアル撮影の利点を書いています。日の丸構図は悪くないも書いています。関連記事は下にあります。


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